刑事訴訟法の基本判例
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タイトル
日付 福岡高裁判決H5.3.8
事案の概要・経緯
被告人、Aのマンションから出てきたところを職質されると全速力で逃走し、所持していた物を隣宅に投げ込む。しかし、被告人こける。Aの承諾の下、警官ら被告人ととにもAのマンションに入り、被告人が隣地に投げ込んだ物の中身を確認する。すると覚せい剤発見。
他にもないのかとたずねると、Aは探してくださいと言う。
そのためマンション内を捜索、すると流し台の下から覚せい剤2キロ発見
判旨
捜査に違法性あり、しかし重大ではないので覚せい剤に証拠能力あり、有罪
投げ込んだ物から覚せい剤発見の時点で、現行犯逮捕の要件充足
→その後の捜索が220-1-2にあたるかが問題
逮捕の現場=逮捕した場所と同一性のある場所
しかし、逮捕した場所と同一性のある場所なら常に捜索可とはいえない
∵プライバシー等への配慮の必要性
職質の必要性から場所を移動して、職質を継続して、移動し束所で逮捕した場合
逮捕に基づく捜索できる範囲は限定される→マンション内の捜索正当化できない
マンション捜索は、投げ込んだ物から発見された覚せい剤の所持に、関連する証拠収集という観点からではなく、被告人が発見された覚せい剤以外にもマンション内に隠匿しているのではないか、という疑いから専らその発見のために実施されていること、明らか
たとえ二つの所持、実体法上は一つ、しかし訴訟法上は別個の事実
一方の被疑事実に基づく捜索を利用して、他方の被疑事実の証拠発見の目的だけで捜索すること、令状主義に反し許されない
そもそも、220-1-2の場合でも、目的物と被疑事実との関連性・目的物が捜索場所に存在する蓋然性の二つは捜査官に委ねられているとしても、被疑事実の存在は司法審査の対象(ただし、現行犯逮捕はその代替しうるだけの高度の蓋然性がある)になる
解説・関連情報
刑事訴訟法重要判例
- 最決H1.7.4長時間の取調べ
- 最決H10.5.1電磁的記録媒体の包括的差押さえ
- 最判H11.3.24接見交通・接見指定
- 最決H14.10.4令状提示前の立ち入り
- 最判H15.10.7一事不再理効と訴因
- 最判H15.2.14違法収集証拠排除法則と毒樹の果実
- 最判H2.6.27捜索差押さえ時の写真撮影
- 最決H5.1.29逮捕した場所から500mないし3km離れた所轄警察署にて220条に基づく捜索・差し押さえ
- 福岡高裁判決H5.3.8220条に基づく捜索・差し押さえ
- 最判H6.9.16採尿令状で検査のための場所に連行できるか
- 最決H6.9.8捜索令状の範囲
- 最決H8.1.29準現行犯逮捕
- 最判H9.9.16職務質問のための実力の行使
- 福岡高裁S42.3.24一罪一拘留の原則
- 京都地裁決定S44.11.5現行犯逮捕
- 最判S44.12.24写真撮影
- 東京高裁S44.6.20220条に基づく捜索・差し押さえ、「逮捕の場所」とは
- 東京地裁決定S47.4.4再逮捕・再拘留の要件
- 最判S51.11.18令状の差し押さえるべき物の範囲は概括的な記載
- 最判S51.3.16強制処分と任意処分の限界
- 最判S53.6.20所持品検査 米子銀行強盗事件
- 最判S61.4.25違法収集証拠排除法則
- 富山地裁決定S54.7.26任意同行と逮捕
- 東京高裁判決S54.8.14実質的逮捕の違法性
- 最判S55.10.23強制採尿
- 最判S59.2.29宿泊伴う取調べ 高輪グリーンマンション殺人事件
参考文献 刑事訴訟法判例百選
主要法律雑誌
法学教室(25%off) The Lawyers(ザ・ローヤーズ) ジュリスト(7%off) 法学セミナー 会社法務A2Z Lexis判例速報 Lexis企業法務 法律時報 インターナショナル・ローヤーズ 知財研フォーラム 法律のひろば 労働判例 その他の法律雑誌 |
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- 最判=最高裁判所判決
- 最決=最高裁判所決定
- → 順接の接続詞(したがって、よって、ゆえに)
- A=B AはBである
- A≠B AはBではない